Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』—ゾシマ長老の兄の心的外傷後成長
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.780
発行日 2024年7月10日
Published Date 2024/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203173
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1880年に発表されたドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』(亀山郁夫訳,光文社)には,かつてゾシマ長老の兄が17歳で亡くなったときの心的外傷後成長(post traumatic growth:PTG)を思わせる精神状態が描かれている.
ゾシマ長老の8歳年上の兄マルケルは,「短気で苛立ちやすい性格」だった.マルケルは復活祭前の大斎が始まったときにも精進したがらず,「そんなのはみんな迷信で,どんな神さまだってあるもんか」と毒づき,鼻でせせら笑っていたのである.
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