Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
三島由紀夫の『宴のあと』—昭和30年代の脳卒中対応
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.1132
発行日 2023年10月10日
Published Date 2023/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202959
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昭和35年に三島由紀夫が発表した『宴のあと』(新潮社)の舞台は,東京・小石川の高台にある雪後庵という,三千坪に及ぶ小堀遠州流の名園で名高い料理店である.
その雪後庵で,11月7日にかつての大使たちの同期会が行われることになった.当日は,暮れてまだ月も出ない時間に,元ドイツ大使の環が元外務大臣の野口とともに現われたが,美男の環は弁舌さわやかで下情に通じていることを誇りにしているような貴族的な外交官だった.
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