文豪と死
三島由紀夫
長谷川 泉
1
1医学書院
pp.624
発行日 1976年8月1日
Published Date 1976/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201140
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三島由紀夫(1925〜70)は本名平岡公威,若くしてノーベル文学賞候補に擬せられたことがある.谷崎潤一郎,川端康成らとともに日本現代の作家として海外から注目されたひとりである.
三島由紀夫は日本浪曼(ろうまん)派の流れをくみ,学習院の生徒時代既に「文芸文化」に「花ざかりの森」を連載してその才能をかわれた.「文芸文化」は太平洋戦争中も,日本浪曼派の準機関誌のように見られていた雑誌である.「文芸文化」の同人には学習院時代の国語の恩師清水文雄がいた.その推薦で「花ざかりの森」が旧制高校生の分際で,この雑誌に載ったのである.この作品は,戦争末期の紙のない時代に,当時としては豪華本である短編集「花ざかりの森」の巻頭を飾った.
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