巻頭言
在宅生活を育む連携強化を
前野 豊
1
1横浜市立脳卒中・神経脊椎センター
pp.489
発行日 2023年5月10日
Published Date 2023/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202818
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やや数字的には半端ではあるが,診療報酬の中に「回復期リハビリテーション病棟」が規定されてから,この4月で23年が経過した.全国の回復期病棟の病床数も9万床を超えてなお,漸増を続けている.急性期での治療に引き続き,ある程度以上の濃厚なリハビリテーション介入を保証される場として,四半世紀近い間に,専従医療者の多寡やリハビリテーション介入の量や成果によって報酬額に差をつける,心大血管疾患を対象疾患とするなど,種々の内容的な改定を加えてきた.今や,すっかり回復期のリハビリテーションにおいて,主たる場としての位置を確立したと言えよう.また,介護保険法が施行されたのも同じく23年前であり,高齢障害者の医療に頼ったケア体制を整理し,在宅生活を支援する別の体制構築を図ったものであった.その中には当初より機能維持を主目標としたリハビリテーションも含まれている.制度施行当初は,制度には規定されていても,サービス提供量に乏しく,まさしく「絵に描いた餅」状態であったが,療法士数の拡充とともに生活期のリハビリテーションとして機能するようになった.
これらの2つのリハビリテーション制度を活用して,医療から在宅へと繋いでいく体系が作られ,移行をスムーズに行うために退院後3か月間のみ併用が可能となっているが,それ以降の医療保険と介護保険のリハビリテーション併用は原則的には認められていない.さらに,病棟専従医の外来が実質的に規制されたこともあいまって,医療機関のリハビリテーション外来体制は縮小傾向にならざるを得なくなっている.
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