Japanese
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入門講座 認知行動療法・4
認知症のリハビリテーションと認知行動療法
Dementia rehabilitation and cognitive behavior therapy
岩切 良太
1
,
大嶋 伸雄
2
Ryouta Iwakiri
1
,
Nobuo Ohshima
2
1日南市立中部病院リハビリテーションセンター
2東京都立大学大学院人間健康科学研究科
1Rehabilitation Center, Nichinan Municipality Chubu Hospital
2Graduate School of Human Health Sciences, Tokyo Metropolitan University
キーワード:
認知症
,
認知行動療法
,
作業療法
Keyword:
認知症
,
認知行動療法
,
作業療法
pp.569-575
発行日 2021年6月10日
Published Date 2021/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202244
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はじめに
認知症は,2025年には有病者数が675万人に上ると推測されており,経済的にも社会保障の面からも大きな問題となっている.本邦では,2020年に認知症施策推進大綱を打ち出して,認知症対策に力を入れている.そのなかで認知症の発症や進行の仕組みを解明し,予防法,診断法,治療法,リハビリテーション,介護モデルの研究開発などあらゆるステージや病態を対象に研究開発を促進する1)という記載があり,認知症に対する効果的な介入方法の提案や開発が急務とされている2).
現在では,認知症発症予防に向けた生活習慣の啓発や認知症の鑑別診断や治療,症状の進行に合わせたケアやリハビリテーションの質が高まり,それぞれの成果が蓄積されてきている3).しかしながら,認知症そのものや発症後の症状を完治させる薬物の開発については世界的に取り組まれているものの,未達の状況である.したがって現状では,認知症者自身の尊厳を尊重した質の高い生活の実現は困難である.このため,認知症者へのさらなるリハビリテーションの取り組みが期待されている4).
また最近では,認知症者への精神療法を臨床へ応用した報告もある5)〔例えば,支持的精神療法や認知行動療法(cognitive behavioral therapy;CBT),回想法や精神分析的精神療法・精神力動的精神療法など〕.また,認知症者に対しリハビリテーションと精神療法(特にCBT)を併用した実践の報告もある6-8).
本稿では,まず,認知症のリハビリテーションについて述べ,次に認知症者への精神療法,特にCBTについて論じる.
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