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入門講座 認知行動療法・3
高次脳機能障害者に対する認知行動療法の適応
Clinical adaptation of cognitive behavioral therapy for patients with higher brain dysfunction
大嶋 伸雄
1
Nobuo Ohshima
1
1東京都立大学大学院人間健康科学研究科
1Graduate School of Human Health Sciences, Tokyo Metropolitan University
キーワード:
高次脳機能障害
,
認知行動療法
,
気づき
,
包括的アプローチ
Keyword:
高次脳機能障害
,
認知行動療法
,
気づき
,
包括的アプローチ
pp.471-480
発行日 2021年5月10日
Published Date 2021/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202220
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高次脳機能障害者の心理
1.高次脳機能障害者に対するリハビリテーションの課題
脳卒中患者ならびに交通事故などによる頭部外傷患者では,運動機能障害やさまざまな感覚障害に加えて,高次脳機能障害が少なからず存在する1).広義の認知リハビリテーションでは,脳機能の特性に起因する諸課題のみならず,「心」をもつ人としての存在に起因する困難さ,つまり心理的な問題における包括的理解や,それらに対応した効果的なアプローチが必要となる1).
しかしながら現実として,各種関連学会における症例(事例)研究報告では,症状としての高次脳機能障害の状態把握と,高次脳機能検査尺度による各専門職の訓練前後の評価比較の結果,ならびに日常生活活動(activities of daily living;ADL)面での変化に着目した研究が中心である.それらは,高次脳機能の障害に対するアプローチであり,「高次脳機能障害をもつ人」に対するアプローチとはやや一線を画しているように見受けられる.そこでは,退院後に障害をもったまま地域で暮らすクライエント(client;CL)の心理的な課題や,情緒的な問題でもあるCLの生活のしにくさ〜困難感,それらに対する心理的アプローチの視点などはほとんどみられない2).
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