Japanese
English
特集 精神障害のリハビリテーション
アルコール依存症のリハビリテーション
The rehabilitation programs for alcohol-dependent patients.
木村 充
1
,
中山 秀紀
1
Mitsuru Kimura
1
,
Hideki Nakayama
1
1独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター精神科
1Department of Psychiatry, National Hospital Organization, Kurihama Medical and Addiction Center
キーワード:
アルコール依存症
,
精神療法
,
作業療法
,
認知行動療法
Keyword:
アルコール依存症
,
精神療法
,
作業療法
,
認知行動療法
pp.643-647
発行日 2013年7月10日
Published Date 2013/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110174
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アルコール依存症とリハビリテーション
アルコール依存症は,習慣的な飲酒によって,飲酒への強い渇望が生じ,飲酒のコントロールが失われた状態であり,飲酒する人なら誰もが発病する可能性のある疾患である.アルコール依存症は,身体的な障害のみならず,精神的な問題,仕事上の問題,家庭内の問題など,多岐の領域にわたる障害を引き起こす.日本での調査では,アルコール依存症者は約80万人いると推定され,男性では約2%,女性では約0.1%がアルコール依存症と診断されるという報告がある1).しかし,2011年の厚生労働省の患者調査では,アルコール依存症で実際に医療機関に受診している患者は3.7万人程度であった.
世界保健機関(World Health Organization;WHO)の調査によると,死亡やさまざまな障害の状態を表す指標である障害調整生命年(disability-adjusted life-years;DALY)に換算すると,アルコールは世界で3番目に大きい死亡・障害状態を引き起こすリスク要因であるという2).また,日本では,疾病負荷(global burden of diseases;GBD)全体のうち,男性は6.7%,女性は1.3%をアルコールが占めると報告されている3).全世界でアルコールはさまざまな生活上の機能障害をもたらす大きな要因であり,特にアルコール使用障害のうち最も重い状態であるアルコール依存症患者に対しては,機能回復のためのリハビリテーションの考え方が重要になる.
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