Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
カミュの『ペスト』・2—技術的人間の生き方
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.908
発行日 2020年9月10日
Published Date 2020/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202043
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1947年に発表されたカミュの『ペスト』(宮崎嶺雄訳,新潮社)は,アルジェリアの港町オランがペストに襲われたという設定の話(総合リハ31:686, 2003)だが,そこには,この災厄を神の罰と見なすパヌルー神父と,結局は敗北に終わる戦いと知りながらペストに立ち向かうリウー医師という対照的な二人の人物が描かれている.
ペストの流行が始まって1か月,パヌルー神父はオランの人々に対して,「すべての歴史の初めから,神の災禍は心おごれる者どもと盲いたる者どもをその足下に跪かせた」と,神による罰としての病という考えを述べる.パヌルー神父は,「長い間,この町の人々の上にそのあわれみの御顔を臨ませたもうていられた神も,待つことに倦み,永劫の期待を裏切られて,今やその目をそむけたもうた」と,今こそ反省する時が来たと諭した.
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