連載 世界病院史探訪・9
ライデンのペストハウス
石田 純郎
1
1医療法人慈生会 介護老人保健施設くつろぎ苑
pp.927-928
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102669
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ヨーロッパでは西暦541年に疫病(plague)が流行したことが記録に残っているが,以後疫病の流行が繰り返された.後にペストと呼ばれるようになる,感染力が強く死亡率の高いこの伝染病は,ヨーロッパの人口を半減させ,文化や産業の停滞を招いた.11世紀の十字軍,14世紀のモンゴル軍による人の大量移動により,この疫病は猖獗を極めた.オランダでも流行し,アムステルダム,ウトレヒト,ライデン,ゴーダなどの都市外壁の外側に,16世紀から17世紀にかけてペストハウスが置かれた.
修道院は病人や困窮者を収容し,それが19世紀に近代的な病院に専門分化した.院内感染を防ぐため,修道院の困窮者収容施設には,伝染病患者の入院は禁じられた.疫病患者を健常者から隔離するため,都市の外側にペストハウスが置かれた.人棄的施設である.
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