衛生公衆衛生学史こぼれ話
23.ペストとネズミノミ
北 博正
1,2
1東京都環境科学研究所
2東京医科歯科大学
pp.189
発行日 1986年3月15日
Published Date 1986/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207227
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香港のペスト流行の際にペスト菌が発見されたが.それと前後して台湾でペストの流行があり,東大衛生学の緒方正規,同病理学の山極勝三郎の両教授は現地に出張したが,緒方は斃鼠についていたノミ(Zenopsylla cheopis)の体内にペスト菌を発見,これを健康なネズミに接種してペストを発生せしめ,ペストがネズミに寄生するノミによって媒介されることを,きわめてスマートに証明した(明30,1897).この発見は防疫上もきわめて重要なもので,衛生・細菌学領域で重要な寄与をした日本人として,1)北里:破傷風免疫血清療法,後のベーリング(Emil A.von Behring 1854〜1917)・北里のジフテリア血清療法(1890)は破傷風に対するものと同じアイデアである.2)緒方:ペスト媒介動物であるノミの発見,3)志賀潔:赤痢菌Shigella dysenteriaiの発見が挙げられている.
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