連載 がん医療スタッフの基本スキルを小説から学ぶ[3]【最終回】
アルベール・カミュ『ペスト』—危機に挑む人々「システムと集団」
金 容壱
1
1淀川キリスト教病院腫瘍内科
pp.142-148
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200175
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1940年代。フランス植民地時代のアルジェリアのオラン市。ネズミの大量死に引き続き、奇妙な病気が各地区に現れだした。患者らは高熱とともにリンパ節が腫大し、鼠径部が血みどろになり、呻きながら息を引き取るのだ。市の幹部が「このままでは住民の半分が死滅する」という医師からの警告を渋々受け入れ、ごくわずかな対策をとるようになる。病は次第に勢いを増す。植民地総督府に指示を仰ぐが、市を閉鎖するよう指示がくる。城門が閉ざされ逃げることもできず死の病・ペストに占拠されるオラン市。教会から「神の摂理に疑問を抱かず従うべきだ」というメッセージが発せられる。それに反発した市民たちが協同し、少しずつではあるが、ペストを封じ込めていく。
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