Japanese
English
入門講座 転倒リスクアセスメントと予防・2
運動療法
Exercise therapy
土井 剛彦
1
Takehiko Doi
1
1国立研究開発法人国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター予防老年学研究部健康増進研究室
1Section of Health Promotion, Department of Preventive Gerontology, Center for Gerontology and Social Science, National Center for Geriatrics and Gerontology
キーワード:
運動介入
,
身体機能
,
ステップ
,
dual-task
Keyword:
運動介入
,
身体機能
,
ステップ
,
dual-task
pp.751-757
発行日 2020年8月10日
Published Date 2020/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202011
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はじめに
転倒の発生リスクは多要因にわたり,身体機能,視覚,高血圧,服薬,環境,認知機能,うつ症候など,それぞれにおける機能低下や障害によって転倒リスクが上昇することが知られている1,2).転倒予防のためにさまざまな介入方法が検討されており,その内容は,リスクに応じて改善を目的とする介入,転倒の生じる場面により直接的にアプローチするためにステップ動作に特化した介入,身体機能を維持・向上することで転倒リスクを減らすことを目的とした介入など多岐にわたる.適切なリスク評価とその評価結果に応じた介入を実施することが重要である.
特に身体機能低下は,バランス能力の低下だけでなく,筋力低下や歩行能力の低下などがみられた場合も転倒リスクが上昇するとされている3).これらのリスクに過去の転倒経験や転倒恐怖などを加味して,適切に転倒リスクの程度を評価することが重要である.
米国のThe US Preventive Services Task Force(USPSTF)は,転倒予防のための推奨事項として,適切なリスク評価,そのリスクの程度や内容に合わせて介入を行うことを推奨した4).リスク評価においては,年齢に加えて過去の転倒経験,身体機能/移動能力の低下を評価することでハイリスク者をスクリーニングすること,身体機能についてはTimed Up and Go testのように歩行や移動能力を評価することが推奨された.本稿では,転倒に対するリスクアセスメントと対応について,既出のガイドラインの内容を含めた臨床的示唆が整理された報告を合わせて紹介する2).
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