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実践講座 がんのリハビリテーション—診療ガイドラインをどう活用するか・6
血液腫瘍・造血幹細胞移植
Cancer rehabilitation for patients with hematological malignancies undergoing hematopoietic stem cell transplantation according to clinical practice guidelines
井上 順一朗
1
,
佐浦 隆一
2
Junichiro Inoue
1
,
Ryuichi Saura
2
1神戸大学医学部附属病院国際がん医療・研究センターリハビリテーション部門
2大阪医科大学総合医学講座リハビリテーション医学教室
1Division of Rehabilitation Medicine, Kobe University Hospital International Clinical Cancer Research Center
2Department of Rehabilitation Medicine, Division of Comprehensive Medicine, Osaka Medical College
キーワード:
血液腫瘍
,
造血幹細胞移植
,
運動療法
,
認知機能障害
,
フレイル
Keyword:
血液腫瘍
,
造血幹細胞移植
,
運動療法
,
認知機能障害
,
フレイル
pp.759-763
発行日 2020年8月10日
Published Date 2020/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202012
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はじめに
2013年に公開された「がんのリハビリテーションガイドライン」(以下,初版GL)は,がんのリハビリテーション診療における臨床,教育,研究の指針として,その実践や啓発に大きな役割を担ってきた.一方,近年では,がん患者の人生の質(quality of life;QOL)の向上を目指すサポーティブケアの一環として,後遺症や合併症の予防を目的としたがん治療開始前からのリハビリテーション治療(prehabilitation),がん治療中や治療後の就労支援,がん悪液質,がん誘発認知機能障害や骨関連事象などのマネジメント,緩和ケアにおける症状緩和や在宅療養支援,高齢がん患者,心不全や腎不全などの慢性疾患併存がん患者への対応など,がん治療のみならずがん患者にも影響を及ぼすさまざまな問題に対するリハビリテーション医療へのニーズが高まっている.そして,このような状況に対応すべく,2019年に「がんのリハビリテーション診療ガイドライン 第2版」(以下,改訂GL)1)が公開され,血液腫瘍・造血幹細胞移植の項目では,造血幹細胞移植後の認知機能障害に対する神経認知機能訓練や造血幹細胞移植予定の高齢がん患者に対する高齢者総合的機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment;CGA)が新たな項目として追加された.
そこで本稿では,血液腫瘍・造血幹細胞移植患者に対する診療ガイドラインに基づいたリハビリテーション治療の実践(ベストプラクティス)について解説する.
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