Japanese
English
総説
血液透析患者に対する運動療法介入研究のレビュー
Literature review in therapeutic exercise for hemodialysis patients.
望月 寿幸
1
,
松尾 善美
2
,
八尾 隆治
3
,
福田 豊史
4
,
田端 作好
3
,
山本 則之
4
,
矢嶋 息吹
4
Toshiyuki Mochizuki
1
,
Yoshimi Matsuo
2
,
Ryuji Yao
3
,
Toyofumi Fukuda
4
,
Sakuyoshi Tabata
3
,
Noriyuki Yamamoto
4
,
Ibuki Yajima
4
1いぶきクリニックリハビリテーション科
2神戸学院大学総合リハビリテーション学部
3いぶきクリニック内科
4いぶきクリニック泌尿器科
1Physical Therapy Service, Ibuki Clinic
2Faculty of Rehabilitation, Kobe Gakuin University
3Department of Internal Medicine, Ibuki Clinic
4Department of Urology, Ibuki Clinic
キーワード:
血液透析
,
身体機能
,
運動療法
,
最高酸素摂取量
,
効果量
Keyword:
血液透析
,
身体機能
,
運動療法
,
最高酸素摂取量
,
効果量
pp.581-588
発行日 2010年6月10日
Published Date 2010/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101794
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はじめに
血液透析(以下,透析)患者を含む末期腎不全患者は,心機能低下,腎性貧血,尿毒症などの腎不全症状に加えて,透析アミロイドーシスやカルシウム・リン代謝異常による骨・関節疾患など,運動器に生ずる合併症を抱えていることが少なくない.そのため,骨格筋の筋力低下,筋萎縮や筋血流分布の低下,心拍出量低下,貧血などによる運動耐容能の低下が生じ,低身体活動量状態を余儀なくされ,それが長期に続くと廃用症候群に陥る1).また,腎不全の主な原疾患は糖尿病であり,その合併症である閉塞性動脈硬化症により生ずる重篤な虚血は四肢切断に至ることもある.これらによって日常生活活動(activities of daily living;ADL)に支障を来し,QOL(quality of life)の低下を招くため,その対策は重要である.透析患者に対する運動療法の重要性は認められつつあるものの,科学的根拠に基づいた透析患者に適した運動強度,期間などの指標はいまだ確立されるに至っていない1).また,運動療法介入の臨床試験に関して1980年代より多くの肯定的な報告がなされてきたが,定期的な身体機能の評価や運動療法は透析医療の通常診療のなかで一般化されていない2).これは,明確なガイドラインがないことが一因とされている3).
今回,透析患者に対する運動療法について,これまでのアウトカムを文献的に調査したので報告する.
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