Japanese
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特集 脳卒中片麻痺の上肢
片麻痺の上肢機能検査法
Upper Extremity Function Tests for Hemiplegic Patients.
金子 翼
1
Tasuku Kaneko
1
1神戸大学医学部保健学科
1Faculty of Health Science, Kobe University School of Medicine
キーワード:
片麻痺
,
上肢機能
,
検査法
,
作業療法
Keyword:
片麻痺
,
上肢機能
,
検査法
,
作業療法
pp.1025-1032
発行日 1994年12月10日
Published Date 1994/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107749
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はじめに
片麻痺の上肢機能を「評価」する手段は「検査」が全てではない.しかし,「検査」によって多くの,貴重な情報を得ることが可能であり,「評価」のための中心的な位置を占めることはいうまでもない.
片麻痺の上肢機能を把握するための検査は,過去から現在にわたり,国内外でいくつかの方法が提案・使用されてきている.そして,それらには,片麻痺を固有の対象とする検査と,他の疾患・障害を含めたさまざまな上肢機能障害に対応する一般的な上肢機能検査がある.
片麻痺を固有の対象とする検査の場合は,麻痺の回復過程の運動パターンの分析に焦点をあてようとするものが中心である.しかし,回復段階が初期の原始的な運動パターンから解放された段階では一般的な上肢機能検査によって,より詳細な情報を得ることが計画される.
しかし,それらの検査でどのような情報を得ようとするのか,つまり「上肢機能」を構成するいくつかの因子のうち,主としてどの因子に焦点をあてようとするのか,ということについてそれぞれの検査で多少異なっており,また,検査様式も速度検査(時間制限法と作業制限法)と力量検査(時間を問題にせず,課題の処理が可能か否かを評定する),あるいは,それらの組み合わせなどさまざまである.
この稿では,現在のわが国のリハビリテーション,とりわけ片麻痺に対する作業療法の臨床で使用されている代表的な上肢機能検査に関して,「片麻痺を固有の対象にする検査」と,前述のような「一般的な上肢機能検査」について紹介し,加えて片麻痺の上肢機能に関係する頸・体幹能力,感覚能力などについても多少触れておきたい.
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