巻頭言
総合リハビリテーションとしての運転支援
藤田 佳男
1,2
1千葉県立保健医療大学
2日本作業療法士協会「運転と作業療法特設委員会」
pp.829
発行日 2019年9月10日
Published Date 2019/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201737
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近年,高齢者や運転に支障のある病気をもつ者による事故が社会的問題となっている.この対策として,病気をもつ者に免許更新時の申告や,医師による任意通報,認知機能が低下している高齢者への診断書の提出,などが制度化された.その結果,医師や作業療法士を中心として保健医療職が運転にかかわることが急激に増加した.
日本作業療法士協会「運転と作業療法特設委員会」による実態調査では,500以上の施設で主に脳卒中者を対象として作業療法士が運転にかかわっているものの,さまざまな理由で対応や指導内容の差異があることが明らかになっている.この原因は,① 法的問題:社会的責任の重い活動であるため,法令や規則を熟知した上での指導が必要であること,② 技術的問題:運転は複合的作業の集合体であり,レベルの高いIADL活動であるため評価が容易でないこと,③ 制度的問題:運転適性にはさまざまな疾患が影響するが,診療報酬が算定できない疾患が多いことや,症状が安定し社会復帰を考える時期に支援可能な施設が少ないこと,などがあると考えられる.
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