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内容のポイント Q&A
Q1 産業医科大学病院での運転再開支援の流れは?
「高次脳機能障害者の自動車運転再開の指針」に沿って,運転再開支援を行う.道路交通法に定められる一定の病気の除外,公安委員会の適性試験の基準を満たすことを確認した後,神経心理学的検査,簡易自動車運転シミュレーター(Simple Driving Simulator;SiDS)やHondaセーフティナビ(以下,Honda DS)を用いた医学的評価,指定教習所による実車教習を行い,その結果をあわせて包括的に運転再開の判断を行う.
Q2 運転シミュレーター(DS)の利点と欠点は?
運転シミュレーター(driving simulator;DS)は評価だけでなく,運転技能を向上させる訓練用ツールとしても使用される.患者の費用や時間的負担が少なく,短時間で高次脳機能を加味した運転能力が確認でき,天候や危険場面等,運転状況を選択でき,簡単かつ安全に反復して実施可能である.加えて自らの運転能力の把握にも役立つ.一方で,明確な判定基準がないため解釈が難しく,実車との操作感覚の違いや画面酔いにより実際の運転能力を過小評価する可能性がある.
Q3 国内の運転シミュレーターの種類は?
国内のDSは自動車教習所に設置されるような大型の本格的なものから,パソコン,ハンドル,ペダルを装着した簡易型のものがある.国内の論文ではSiDSやHonda DS,運転操作能力検査用運転シミュレータDS-7000Rの報告がみられ,最近ではコーディネーション・トレーナーや@ATTENTION-DSドライブシミュレーター等が登場している.
Q4 簡易自動車運転シミュレーターとHondaセーフティナビの特徴と適応は?
SiDSは事故常習者と健常者の測定値をもとに開発された日常診療で用いる簡易的な自動車運転シミュレーターである.運転適性の基準は明確で,5年間無事故無違反の健常高齢者の98%に「適性あり」と判定可能であった.一方で注意配分検査はあるが危険場面の運転の評価はないので,危険場面の運転評価にはHonda DSを用いるが判断基準は明確ではない.また,脳血管疾患に伴う同名半盲や半側空間無視における半側の注意の欠如や盲側の見落としの評価や,病識が乏しく自己評価が高い症例に対して訓練に用いる.

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