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特集 脳卒中診療とデータベース
福岡脳卒中データベース研究
Fukuoka Stroke Registry(FSR)
佐藤 倫子
1
,
北園 孝成
1
Noriko Sato
1
,
Takanari Kitazono
1
1九州大学大学院医学研究院病態機能内科学
1Department of Medicine and Clinical Science, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
キーワード:
地域コホート
,
エビデンス
,
機能予後
Keyword:
地域コホート
,
エビデンス
,
機能予後
pp.119-127
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201553
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はじめに
急速に超高齢社会を迎えつつあるわが国では,脳卒中患者が増加している.脳卒中はわが国における死因の第3位であるとともに,要介護者の原因疾患の第2位となっている.その後遺症により患者の日常生活動作が制限されることで,生活の質(quality of life;QOL)が低下し,健康寿命を損なう原因となっていることから,脳卒中発症の予防と医療の充実が急務であると考えられる.現在,脳卒中診療の現場では,脳卒中治療ガイドラインを活用し,エビデンスに基づいた診療が行われているが,そのガイドラインの根拠となっているエビデンスの多くは海外の臨床研究の結果に基づいている.そのため,わが国においても多数の患者情報を集積した大規模臨床研究からの,日本人の日本人による日本人のためのエビデンスの確立が必要である.
われわれは,共通の診断基準や治療方針のもとに専門医療を提供できる脳卒中専門医をそろえた福岡県の7施設による多施設共同脳卒中データベース〔福岡脳卒中データベース(Fukuoka Stroke Registry;FSR)〕を構築した.このデータベースを用いて,本邦における脳卒中患者の病態の解明とともに,治療成果の評価につながる研究を行い,わが国における脳卒中医療の基盤となるエビデンスを構築することを目的としている.本稿では,FSRについての概要とこれまでの成果の一部1-7)を紹介する.
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