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特集 脳卒中診療とデータベース
脳卒中患者のデータベース
Database of stroke patients
林 尊弘
1
,
近藤 克則
2,3
Takahiro Hayashi
1
,
Katsunori Kondo
2,3
1星城大学リハビリテーション学部
2千葉大学予防医学センター
3国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター
1Department of Rehabilitation and Care, Seijoh University
2Center for Preventive Medical Sciences, Chiba University
3Center for Gerontology and Social Science, National Center for Geriatrics and Gerontology
キーワード:
脳卒中診療
,
データベース
,
悉皆性
,
法制化
Keyword:
脳卒中診療
,
データベース
,
悉皆性
,
法制化
pp.101-105
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201548
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はじめに
脳卒中は,心血管疾患のなかでも頻度が高く,2017年には再び死因の第3位となり1),要介護状態に陥る疾患では認知症に続く第2位である2).また,今後の高齢者人口の増加に伴い,脳卒中患者数は2014年の118万人から増加して2020年には166万人と将来推計されている3).脳卒中医療では,急性期の入院治療以外にも,脳卒中の発症予防,後遺症に対するリハビリテーション,在宅介護など膨大な資源が投入されており,2016年度の国民医療費における脳血管疾患の年間医療費は1兆7439億円であったことが報告されている4).
限られた医療費のなかで良質な医療を提供するためには,脳卒中診療の体制整備や効率化が必要であり,そのためには悉皆性と信頼性を合わせもつ国家的な脳卒中登録事業が不可欠とされている5).海外においては,1990年代よりビッグデータを利用した全国規模の脳卒中登録研究が進められている6).一方,わが国においても医療のIT化が進み,近年ではビッグデータの解析による医療への活用が注目されてきている.
本稿では,まず脳卒中登録研究における海外の動向を紹介し,日本の脳卒中診療における症例登録(事業/研究)の目的やデータベース構築の意義および継続性の課題を述べる.
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