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はじめに
コンピュータに一定のルールで入力され,管理されているデータの集合をデータベースと言う.データベースはコンピュータの貯蔵,検索,加工,転送などの機能により有効な利用が可能となる.リハビリテーション医療においても,データベースは情報検索,情報管理,予後予測などに利用されてきた.情報検索についてはMEDLINE,EMBASEなどの有用性が報告されている1).情報管理としては,入院患者,地域における障害者の疾病・障害状況などを管理するために用いられている2).予後予測の活用例には,入院時データから退院時機能的状態3),退院後の生活場所4),作業能力5),quality of life;QOL6)などの予測がある.
データベースは,コンピュータで取り扱うデータの構造や処理の仕方を抽象化してデータの系統的配置を容易にする基本ソフトウエアから成り立っている.データベースを設計するには,データベースの目的,内容,構造を明らかにしなければならない.データベースの目的とは概念的な対象領域であり,情報検索,情報管理,予後予測などがそれに相当する.内容とは概念的な対象領域を具体化するための測定項目や範囲である.たとえば予後予測であれば,activities of daily living;ADL,歩行能力,上肢機能などが内容である.内容が決まると予後予測という目的の対象項目が明確となる.構造とは内容の配列や相互関係に関わることである.入院時ADLから退院時ADLを予測するとか,ある時点で予測された歩行速度と実測歩行速度を比較するための配列が予後予測の構造である.
データベースの目的,内容,構造は利用者の使用目的を反映するものでなければならないし,利用者はデータベースに合わせた利用者システムを構築しなければ,データベースを有効に利用することはできない.コンピュータの入力や出力をどのように行うか,出力結果をどのように利用するかなどが決まっていなければならない.リハビリテーション医療であれば,利用者がどのようなリハビリテーション過程を展開するか,それを可能にするカンファランス,回診,連絡文書などのリハビリテーション管理体制がどうなっているかがデータベース利用のために重要である.
ここでは,東北大学医学部附属リハビリテーション医学研究施設・附属病院鳴子分院において開発された脳卒中機能回復予測システム(Recovery Evaluating System;RES)によってなされる予後予測結果を実際にどのように利用するかについて触れ,利用者システムのあり方について述べることとする.
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