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第1土曜特集 1型糖尿病――診療と研究の最前線
病態研究
日本人1型糖尿病のデータベース
-――TIDE-J研究を中心に
Database of Japanese type 1 diabetes
――Focusing on TIDE-J research
梶尾 裕
1,2
,
中條 大輔
3,4
Hiroshi KAJIO
1,2
,
Daisuke CHUJO
3,4
1国立国際医療研究センター病院副院長
2同糖尿病内分泌代謝科診療科長
3富山大学学術研究部医学系臨床研究管理センター副センター長(教授)
4同医学部第一内科診療教授
キーワード:
1型糖尿病
,
3亜型
,
データベース
,
日本人
,
TIDE-J研究(Japanese type 1 diabetes database study)
Keyword:
1型糖尿病
,
3亜型
,
データベース
,
日本人
,
TIDE-J研究(Japanese type 1 diabetes database study)
pp.672-677
発行日 2022年5月7日
Published Date 2022/5/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28106672
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日本では欧米諸国と比べ1型糖尿病の発症頻度は低く,その臨床像は不均一であり,急性発症1型糖尿病(AT1D),緩徐進行1型糖尿病(SP1D)および劇症1型糖尿病(FT1D)の3亜型に分類される.患者を対象とした縦断的な症例登録研究は欧米に比較して遅れているのが現状である.TIDE-J(Japanese type 1 diabetes database)研究は,このような状況を克服するため10年前からデータを蓄積してきた.TIDE-J研究では,発症後5年未満,膵島関連自己抗体を持っているか空腹時血清Cペプチドが1.0ng/mL未満,患者の書面による同意を得た症例を登録し,1年ごとの血糖コントロール状況,内因性インスリン分泌,膵島関連自己抗体,糖尿病合併症,治療などの臨床情報をREDCapという電子的データ収集(EDC)システムを用いて臨床研究支援センター(JCRAC)に収集,登録し,登録時にはヒト白血球抗原(HLA)遺伝子型を分析している.登録時および経過観察時の血清と登録時のDNAサンプルは今後の解析研究のために保管されている.TIDE-J研究のデータベースや患者試料は,1型糖尿病の各病型の臨床経過を明らかにするとともに,病型診断,成因解明,治療介入,さらには発症予防と予知のための新たなマーカーの探索に役立つと考えられる.
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