ナースの作文
友へ
T・K
1
1労災病院
pp.51-52
発行日 1957年8月15日
Published Date 1957/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910410
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S様卒業してはや2カ月になりますね。運命とはこんなものでしようか。あの大きな手術の後に看護の道に最善をつくすために生活を共に致しましようと約束しましたね。そして私も貴女と生活を共にし看護の途にいそしめることをどれほど願つたでありましよう。
しかし私が無力だつたため,いや自分で好んで病院を去つたと云われても仕方がないでしよう。ここに勤務する様になりました。ある人は私が病院(母校)を去る時病院の名誉にかけて小さな病院に勤めない様にと云いました。しかし私が看護婦であり対象が患者である以上私の看護精神は一徹です。この事は貴女も認めてくれるでしよう。この病院は規模こそは大きくはあれ,三十年の歴史をもつ貴女の病院に比較すれば,ほとんど幼児期に相当するかも知れません。しかし私は最善の看護をしとげるために努力致して居ります。私が看護という職業を破棄せぬかぎり貴女にいつか話しましたわね,あれを不減の法則として,看護の道を進めるか横道するか,あれかこれかで看護致します。勿論この病院の患者さんと共に!!多くの先輩達が理由はともあれ1,2年の病院勤務で他の病院に行くようですが病めるもの痛めるもののために今は生活すらすてても悔いないつもりで居ります。
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