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はじめに
小児リハビリテーション領域における診療の目的は心身機能の改善に限らず,発達段階に応じて日常生活全般を遂行するのに必要な能力を獲得し,社会参加可能な環境を整備することである.そのため,一般的な身体診察や精神運動発達評価だけでなく,日常生活や社会参加状況を含めた包括的な評価を行う必要がある.得られた情報の整理,構造化,問題点の抽出を行うためには,成人と同様に国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health;ICF)の構造(図1)を用いることが有効である.18歳未満の児を対象に2002〜2005年にわたって開発されたICFの児童版International Classification of Functioning, Disability and Health for Children and Youth(ICF-CY)は,日本語版1)が2009年に刊行されて以後,教育現場を中心に活用されてきた.成長発達期の特性についての配慮が行き届いていることからICFよりも評価に適している2)といわれてきたが,2017年現在,ICFの中に含まれることになっており,ICF自体が全世代を対象とする国別,専門性の枠を越えた共通言語ということができる.今後は,小児医療の現場においてもICFを十分に活用し,ICF構造の核である「心身機能・身体構造」に対する治療成果やリハビリテーション効果だけでなく,「活動と参加」の質自体の変化に着目する必要があると思われる.われわれは,その必要性に対応すべく,小児医療における支援内容や成果の指標として「活動と参加」について反映された簡易的評価尺度の開発を進めてきた.今回,その活用について実例を交えて紹介する.
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