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実践講座 小児の痙縮治療・4
機能的脊髄後根切断術
Functional posterior rhizotomy
師田 信人
1
,
佐藤 政広
2
,
和田 勇治
3
Nobuhito Morota
1
,
Masahiro Sato
2
,
Yuji Wada
3
1東京都立小児総合医療センター脳神経外科
2東京都立多摩療育園医療科
3東京都立小児総合医療センターリハビリテーション科
1Division of Neurosurgery, Tokyo Metropolitan Children's Medical Center
2Department of Rehabilitation Medicine, Metropolitan Tama Medico-Welfare Center
3Department of Rehabilitation Medicine, Tokyo Metropolitan Children's Medical Center
キーワード:
機能的脊髄後根切断術
,
痙縮
,
脳性麻痺
,
GMFM
,
GMFCS
Keyword:
機能的脊髄後根切断術
,
痙縮
,
脳性麻痺
,
GMFM
,
GMFCS
pp.1031-1038
発行日 2017年10月10日
Published Date 2017/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201121
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はじめに
機能的(または選択的)脊髄後根切断術(以下,後根切断術)とは,脊髄神経後根を馬尾レベルで切断することにより痙縮を軽減する手術である1-3).脳障害による中枢性抑制機能の低下のため,相対的に過剰となった末梢性興奮刺激を入力路である脊髄神経後根で切断することにより興奮刺激と抑制刺激のバランスを取り戻し,痙縮を軽減する.
原疾患を問わず痙縮に対する手術効果は認められるが,主に脳性麻痺小児が手術の適応となる.2013年に発行された「脳性麻痺リハビリテーションガイドライン,第2版」では「対象の選択と目的を慎重に考慮すれば,選択的後根切断術は勧められる」と記載されている4).本邦において現代的な手法で実施されるようになって約20年の歴史となる5).
痙縮発現にはさまざまな誘因が関与するが,後根切断術は末梢からの感覚性刺激入力経路である脊髄神経後根を切断することにより痙縮を軽減しようとするものである.手術操作の対象となるのは感覚神経(後根)のみであり,脊髄神経前根から各末梢神経,筋・腱に至る運動神経には手術操作は及ばない.後根切断術により痙縮は軽減するが,運動機能そのものが改善するわけではない.運動機能改善のためには痙縮減弱後の術後リハビリテーションが重要な役割を果たす.痙直型脳性麻痺小児における運動障害の大きな原因が痙縮および痙縮に由来した骨関節系の異常にあることを考えると,痙縮軽減を得ることのできるこの手術は,治療法として理にかなったものと思われる.
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