Japanese
English
研究と報告
橈骨遠位端骨折の術後経過と主観的改善度の特徴—受傷側による違い
Characteristic of the postoperative progress and subjective improvement degree in patients of distal radius fracture:difference by the injury side
川合 智子
1
,
後藤 進一郎
1
,
小口 和代
1
,
今田 貴子
1
,
夏目 唯弘
2
Satoko Kawai
1
,
Shinichiro Goto
1
,
Kazuyo Oguchi
1
,
Takako Imada
1
,
Tadahiro Natsume
2
1刈谷豊田総合病院リハビリテーション科
2刈谷豊田総合病院整形外科
1Department of Rehabilitation, Kariya Toyota General Hospital
2Department of Orthopedic Surgery, Kariya Toyota General Hospital
キーワード:
橈骨遠位端骨折
,
DASH
,
受傷側
Keyword:
橈骨遠位端骨折
,
DASH
,
受傷側
pp.1039-1043
発行日 2017年10月10日
Published Date 2017/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201122
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要旨 【目的】臨床上,利き手受傷の橈骨遠位端骨折患者で,非利き手受傷と比較して早期に手の動きがよくなったと訴える患者を経験することがある.そこで受傷側の違いが作業療法経過,また主観的改善度に影響を与えるか検討した.【対象】2012年7月〜2014年7月に橈骨遠位端骨折と診断され,刈谷豊田総合病院(以下,当院)で観血的整復固定術を行い継続評価が可能だった37例37手.利き手16例,非利き手21例.【方法】上肢障害評価表(Disability of Arm, Shoulder and Hand;DASH),関節可動域(range of motion;ROM),握力健側比を作業療法開始0週,4週,最終時に評価した.作業療法実施期間,また各時期において受傷側による違いで差が生じるか統計解析を実施した.【結果】受傷側の違いで作業療法実施期間に有意差は認められなかった.DASH・握力健側比は作業療法開始から作業療法最終時にかけて改善がみられ,ROMは,上記に比べ早期に改善し,作業療法開始1か月でほぼプラトーに達した.またDASHは,0〜4週の主観的改善度に差があり,利き手が有意に改善した.【考察】DASHの作業療法開始4週以降の改善はROMの改善ではなく,握力健側比の改善が影響していることが示唆された.DASHは日常生活上の困難感を問う特性上,利き手が不自由になると困難感が強く反映されやすい.つまり利き手を受傷した場合は,非利き手受傷より患者が手の動きがよくなったと訴えることが多いと考えた.この結果が,臨床上,早期に手の動きがよくなったと訴える利き手受傷患者を経験する1要因と推察された.
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