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はじめに
超高齢社会では活動を高め参加を促す,あるいは生活の質(quality of life;QOL)を高めるといった生活の視点を取り入れた医療が求められる.入院で安静を強いられることなどにより起こる入院関連機能障害の高齢者は低栄養だと日常生活動作(activities of daily living;ADL)は十分に改善しない1).ADL改善のためには,栄養管理を含む総合的なリハビリテーション医療が重要となる.近年,やせやサルコペニアによる嚥下障害の報告も散見されるようになり2,3),より進行した栄養障害では,嚥下障害,寝たきり,認知症などの問題が深刻に現れる.そのため「しっかり食べなさい」という口頭指示だけでは歯が立たず,低栄養を来した理由が何と何なのかを明らかにし嚥下障害や身体活動性,姿勢,歯の状態,食形態や味,それぞれに対応していかねばならない.そこでは多角的な視点をもって介入できるという点でも多職種介入が重要で,それは職種間の「連携」を超えた多職種「協働」の形をとる.
栄養サポートチーム(nutrition support team;NST)では栄養療法が有効かどうかを定期的にモニタリングしアセスメントを行う.その際にはいろいろな栄養指標を多職種の共通言語として用いるので,まずは共通用語を理解することが必須である.
かつて,栄養療法におけるアセスメントは死亡率や罹患率に限定していた.しかし現在では,より包括的に栄養療法の有効性が評価されるようになってきている.例えば臨床転帰として体重や血液検査値,再入院の必要性,感染症発症率などの評価,機能的転帰として身体機能,社会参加,精神心理的健康レベルなどの評価,患者の満足度に関する転帰としてQOLの評価,そして経済的転帰が挙げられる.本稿では臨床転帰のなかでもNSTでよく用いられる栄養評価指標について,その意味や測定方法をまとめる.
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