Japanese
English
特集 排尿ケアとリハビリテーション
二分脊椎患者
Lower urinary tract dysfunction in patients with spina bifida and its management strategy
井川 靖彦
1
Yasuhiko Igawa
1
1東京大学大学院医学系研究科コンチネンス医学講座
1Department of Continence Medicine, The University of Tokyo Graduate School of Medicine
キーワード:
二分脊椎
,
神経因性下部尿路機能障害
,
清潔間欠導尿
,
腎機能障害
,
尿路感染
Keyword:
二分脊椎
,
神経因性下部尿路機能障害
,
清潔間欠導尿
,
腎機能障害
,
尿路感染
pp.1005-1012
発行日 2017年10月10日
Published Date 2017/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201116
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はじめに
二分脊椎とは,脊柱管を形成する椎弓の先天的な癒合不全であり,囊胞性二分脊椎と潜在性二分脊椎に分類される.脊髄髄膜瘤を代表とする囊胞性二分脊椎の患児は,その90%以上が神経因性下部尿路機能障害(neurogenic lower urinary tract dysfunction;NLUTD)を来し,腎機能障害や症候性尿路感染を合併しやすいため,新生児期・乳児期からの適切な尿路管理が求められている.一方,潜在性二分脊椎は,単なる椎弓の先天的な癒合不全のみで神経障害を合併しない場合も少なくないが,脊髄脂肪腫とこれに伴う脊髄円錐部低位が確認される場合には,NLUTDを来すリスクが高いため,囊胞性二分脊椎の患児に準じて,NLUTDの評価とそれに基づく尿路管理が必要となる.さらに,潜在性二分脊椎の患者の中には,幼児期〜思春期以降に難治性の下部尿路症状や反復性の尿路感染を契機に初めて発見される場合が少なくない.これらの二分脊椎に伴う下部尿路機能障害患者の尿路管理の目的は,① 腎機能障害の防止,② 尿路感染症の防止,③ 社会的に許容される排尿自立と生活の質(quality of life;QOL)の向上である.
本稿では,最近発刊された「二分脊椎に伴う下部尿路機能障害の診療ガイドライン2017年版」1)の内容に沿って,二分脊椎患者のNLUTDの特徴,診断・治療・ケアの要点,長期的なケア・リハビリテーションについて概説する.
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