Japanese
English
特集 排尿・排便障害とリハビリテーション
二分脊椎
Micturition and Defecation of Spina Bifida.
石堂 哲郎
1
Tetsuo Ishidoh
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター泌尿器科
1Department of Urology, Kanagawa Rehabilitation Center
キーワード:
二分脊椎
,
排泄障害
,
間欠導尿
,
強制排便
Keyword:
二分脊椎
,
排泄障害
,
間欠導尿
,
強制排便
pp.923-927
発行日 2000年10月10日
Published Date 2000/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109330
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はじめに
先天性の疾患である二分脊椎では,新生児から成長して大人になっていく過程すべてがリハビリテーションといえる.その中でも神経障害による排泄(排尿,排便)障害は避けて通れない重要な問題である.排泄(排尿,排便)が自立できなければ学校生活,社会生活でも周囲との軋轢が生じ,いろいろな問題の原因にもなり,満足な生活を送ることができなくなる.また,排泄(排便,排尿)が自立できなければ社会人としての自我の確立(人格の形成)もできず,社会から疎外されてしまう.したがって,排泄が自立できなければ二分脊椎におけるリハビリテーションが完成したとはいえない1).
二分脊椎では皮膚の知覚障害があるため,清潔,不潔の概念も不確実で,当然のこととして便意,尿意もない.そのうえ排泄(排尿,排便)による爽快感も感じられない.このような二分脊椎児に排泄(排尿,排便)の習慣を獲得させるのは非常に難しく,長期にわたった根気強い努力が必要である.さらに,視空間認知や構成力など,目で見て判断する能力が劣っているとも言われている.すなわち“会話は普通にできるし,日常生活でのコミュニケーションではなんら困ることはない.むしろ能弁で記憶力も良い.”と思われる反面,“手先の器用さに欠け,行動面でもどこかぎこちなく,粗雑で機敏さに欠ける.”などの要素があり,言語面と動作・行動面との格差が指摘されている2).
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