Japanese
English
特集 身体障害者と加齢
二分脊椎と加齢
Sexual and Social Status of Adults with Spina Bifida.
石堂 哲郎
1
Tetsuo Ishidoh
1
1神奈川リハビリテーション病院泌尿器科
1Department of Urology, Kanagawa Rehabilitation Hospital
キーワード:
二分脊椎
,
水頭症
,
加齢
,
尿路管理
,
性機能
Keyword:
二分脊椎
,
水頭症
,
加齢
,
尿路管理
,
性機能
pp.107-110
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107002
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はじめに
二分脊椎は先天性の疾患であるから,新生児期からの成長の過程そのものが加齢の問題と言うこともできる.可能な限り,健常児と同じように成長していくのが理想であるが,特に成人するまでには多くの問題を解決していかなければならない.思春期までの問題については従来から研究も多く,それらに対する対処の方法も比較的一般に普及していると思われるが,思春期から成人期にかけての問題についての研究は,我が国では皆無と言ってよく,論文もほとんどない.その理由としては,現状では成人二分脊椎者がそれほど多くなく,医療従事者にとっても余り話題にならず,患者側からの訴えも多くなかったためと思われる.しかし,二分脊椎に対する医療も進み,臨床各科相互の理解も深まり,成人していく二分脊椎者も多くなり,社会環境も整備されてきているので,今後はいろいろな方面で成人二分脊椎者の問題が話題になってくるものと思われる.1980年の我々の調査では,20歳以上の二分脊椎者はわずか28名であったが,今回の調査では63名と倍以上に増加している1).
二分脊椎者の生涯にわたって注意をしなければならないことは,従来言われているように,まず第1に腎機能障害を予防すること,排尿管理,歩行の問題,水頭症の問題,褥瘡の問題などを適切に処理して,一般人としての社会生活を可能にすることである.したがって,就職も,結婚も当然可能でなければならない.
本稿では,思春期までの問題については,尿路管理(腎機能の保全,排尿方法の確立―尿失禁の予防)を中心に概略的に述べ,その後(成人)については性機能を中心に述べる.
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