Japanese
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特集 自動車運転再開に向けた取り組み
自動車運転シミュレーターを用いた運転再開評価手順
Driving resumption assessment procedure using Driving Simulator
加藤 徳明
1
,
佐伯 覚
1
,
蜂須賀 研二
2
Noriaki Kato
1
,
Satoru Saeki
1
,
Kenji Hachisuka
2
1産業医科大学リハビリテーション医学講座
2独立行政法人労働者健康安全機構九州労災病院門司メディカルセンター
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health, Japan
2Moji medical center, Kyushu Rosai Hospital, Japan Organization of Occupational Health and Safety
キーワード:
脳損傷
,
包括的運転評価
,
運転シミュレーター
,
実車教習
Keyword:
脳損傷
,
包括的運転評価
,
運転シミュレーター
,
実車教習
pp.309-315
発行日 2017年4月10日
Published Date 2017/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200908
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はじめに
リハビリテーション医療の分野では,脳卒中や外傷性脳損傷,脊髄損傷などにより障害をもつ患者の社会復帰は重要な目標の1つであり,職場復帰や生活の質の向上を図るうえで自動車運転再開を望む者は多く,医療者のかかわりは重要である.特に脳損傷者が自動車運転を再開する際には包括的自動車運転評価が重要視され1),その評価は疾病の把握,身体機能評価,高次脳機能評価,シミュレーターや有効視野検査等の非路上評価などの医療機関評価に加え,構内や公道の実車運転を含む路上評価からなる.
われわれは,包括的評価の一部として松永らが考案した認知反応検査,タイミング検査,走行検査から成るKM式安全運転助言検査2)が臨床応用可能であると考え,2006年に試験的に使用を開始した.実際の運転は周囲の状況やミラーを見ながらハンドル・ペダルを操作する注意配分能力が重要であるため2009年に注意配分検査を追加した.以上の4つの検査を含むシミュレーターを簡易自動車運転シミュレーター(Simple Driving Simulator;SiDS)と命名した.2013年に「自動車運転再開とリハビリテーションに関する研究班」を結成し,医学的判断基準に関する検討を重ねSiDS評価を含めた「高次脳機能障害者の自動車運転再開の指針(Ver. 2)(表1)」(以下,指針)を作成した3).研究班ではこの指針を基にSiDSを用いた多施設共同研究を実施し中間報告を示している4).本稿では,指針を基に自動車運転再開に関する医学的判断,シミュレーターや実車教習を含む包括的評価手順に関して概説し,最後に多施設共同研究の結果に基づき実施すべき机上課題を提案する.
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