Japanese
English
特集 自動車運転再開に向けた取り組み
新潟県での取り組み—障害と自動車運転に関する研究会活動
Activities of driving support system after stoke and brain injury persons in Niigata prefecture
﨑村 陽子
1
Yoko Sakimura
1
1新潟リハビリテーション病院リハビリテーション科
1Department Rehabilitation, Niigata Rehabilitation Hospital
キーワード:
自動車運転再開支援
,
地域連携
Keyword:
自動車運転再開支援
,
地域連携
pp.317-325
発行日 2017年4月10日
Published Date 2017/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200910
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
研究会発足の背景
1.自動車運転再開の必要性
公共交通機関が発達している大都市をのぞけば,日本国中が車社会となり自家用車なしでは買い物や通勤,通院など日常生活を維持することが困難となっている.新潟県も例外ではなく,全国第5位の面積をもち約230万人の人口を擁するが,都市部を除くと公共交通機関がほとんどない地域が広範に存在しており,それこそ田畑に行くにも自家用車が必要である.このように日常生活には自動車運転が必須であり,県民の3分の2にあたる約158万人が運転免許証を保有している(図1).
このような状況では,軽症の脳損傷患者が自宅に退院するとすぐにでも自動車運転が必要となるため,患者本人だけでなく家族も早急な運転再開を希望し,自己判断で運転を始めてしまう場合も多い.さらに最近の脳卒中治療の進歩は著しく,短期間に運動機能障害が軽度かほぼ残らない程度に回復し,自宅に退院できる患者が増えている.しかしそのなかには,表面上はわからない注意障害や記銘力低下,遂行機能障害などの高次脳機能障害を有した,自動車運転に危険がある患者も存在している1).病識がなく自己の認知機能低下や判断能力低下を自覚できない人は,周囲の助言を無視して自己判断で運転を再開してしまうこともある.自己判断での運転再開を予防するには,治療にかかわる医療者が患者,家族に対して,医療機関で安全に運転できるかどうかを確認し,医師に診断書を書いてもらったうえで免許センターで臨時適性検査を受け,許可をもらってから運転再開することを説明しておかなければならない.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.