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教育講座
脳損傷者の自動車運転再開のリスク管理と支援
Risk Management and Support of Driving Resumption in Patients with Brain Damaged
武原 格
1
Itaru Takehara
1
1東京都リハビリテーション病院リハビリテーション科
キーワード:
脳損傷
,
法律
,
全身管理
,
薬剤
,
回復期リハビリテーション病棟
Keyword:
脳損傷
,
法律
,
全身管理
,
薬剤
,
回復期リハビリテーション病棟
pp.1407-1412
発行日 2021年12月18日
Published Date 2021/12/18
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- Abstract 文献概要
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- 参考文献 Reference
はじめに
脳損傷者に対する運転再開支援は,近年回復期リハビリテーション病棟を中心に行われている.自動車運転再開には,道路交通法の遵守,高血圧や糖尿病などの医学的問題の適切な管理,そして運転可能な身体・高次脳機能が保たれていることが条件となる.自動車運転中の体調変化は,交通事故につながるため健康管理は重要である.特に,脳損傷者は,多くの合併症を有しているので注意が必要である.全身の健康状態が良好にコントロールされていなければ,運転を再開してはいけない.運転中の突然の意識障害により交通事故が生じることは少なくない.しかし,運転再開支援に関するリハビリテーション医療が普及し,すそ野が広がってくると,十分な知識をもたずに,自動車運転再開評価および判断がなされることが危惧される.また,医師は運転に関する診断書を記載するため,自分が運転再開を許可した患者が交通事故を生じた際の責任の重さから,診断書の記載を躊躇あるいは拒否することもあると聞いている.
リハビリテーション科医は,脳損傷者の自動車運転再開の可否を適切に判断し,必要な支援を行う立場にある.われわれは,脳損傷者の自動車運転再開を安易に許可するでも,簡単に中止と判断するでもない.どの程度の障害までなら健常者と遜色なく安全運転が可能なのかを判断基準とすべきであろう.しかし,この領域はまだまだ医学的,社会的に不明瞭な部分が多く,判断に迷うことも少なくない.今回,脳損傷患者の運転再開に際し,診断書作成に伴う責任や,行うべき医学的管理,薬剤の影響などについて解説する.
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