Japanese
English
特集 歩行訓練のエビデンス
脊髄損傷
Spinal cord injury
田辺 茂雄
1
,
小山 総市朗
1
,
才藤 栄一
2
,
平野 哲
2
,
加藤 正樹
3
Shigeo Tanabe
1
,
Soichiro Koyama
1
,
Eiichi Saitoh
2
,
Satoshi Hirano
2
,
Masaki Katoh
3
1藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション学科
2藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座
3藤田保健衛生大学病院リハビリテーション部
1Faculty of Rehabilitation, School of Health Sciences, Fujita Health University
2Department of Rehabilitation Medicine I, School of Medicine, Fujita Health University
3Department of Rehabilitation, Fujita Health University Hospital
キーワード:
脊髄損傷
,
エビデンス
,
体重免荷式トレッドミル歩行訓練
,
機能的電気刺激
,
ロボット
Keyword:
脊髄損傷
,
エビデンス
,
体重免荷式トレッドミル歩行訓練
,
機能的電気刺激
,
ロボット
pp.209-216
発行日 2017年3月10日
Published Date 2017/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200878
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はじめに
わが国の脊髄損傷発生数は年間約5,000例であり,その総数は10〜20万人とされている1).交通事故や高所からの転落が主な受傷原因であり,損傷高位以下の運動感覚機能障害が生じる.損傷後数か月程度は回復が期待できるものの,その後の急激な変化は望めない2,3).多くの脊髄損傷患者は,下肢や体幹の運動感覚機能障害が生涯残存し,日常生活の移動手段は車椅子となる.
車椅子は安定性やエネルギー効率に優れた移動手段であるが,長期間の車椅子生活は,骨粗鬆症4),関節拘縮5),心肺機能障害6,7),膀胱直腸障害8)などの身体的問題や,低い目線での生活に起因すると考えられる生活満足度低下などの心理的問題を引き起こす9,10).そのため,歩行能力改善は多くの脊髄損傷患者の望みであり,リハビリテーション医学として重要な課題である.
本稿では,まず主要な歩行訓練手法の歩行能力改善効果をまとめた.次に,身体的問題,心理的問題に対する歩行能力以外の副次的改善効果についてまとめた.最後に,脊髄損傷患者の歩行訓練におけるエビデンス構築に必要な観点について述べる.
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