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特集 脊髄損傷―最近の話題
脊髄損傷に対する治療的電気刺激―上下肢,膀胱を中心に
Therapeutic electrical stimulation in spinal cord injury patients: Therapeutic electrical stimulation for upper and lower extremities and bladder.
亀山 順一
1,2
Junichi Kameyama
1,2
1東北労災病院リハビリテーション科
2かめやま整形外科リハビリテーションクリニック
1Department of Rehabilitation Medicine, Tohoku Resai Hospital
キーワード:
機能的電気刺激
,
治療的電気刺激
,
脊髄損傷
Keyword:
機能的電気刺激
,
治療的電気刺激
,
脊髄損傷
pp.211-217
発行日 2002年3月10日
Published Date 2002/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109707
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はじめに
電気治療は,古くは紀元前に電気鯰の電気刺激により頭痛や痛風の治療に使用されたと言われている1).近年になって,1952年にPaul M Zollが人工ペースメーカーによって初めて,刺激伝導路の障害患者に治療し,20分間拍動させることに成功した2).これが機能的電気刺激(Functional electrical stimulation;FES)の最初と考えられる.
1961年,Libersonら3)が,片麻痺患者の下垂足に対し腓骨神経の刺激制御により歩行を改善させた報告が,麻痺肢へのFESの最初と考えられている.その後,麻痺肢に対するFESが数多く報告されてきている.一方,麻痺肢に対してFESの前段階の電気刺激により,筋力増強,痙性の軽減,関節の拘縮の改善などの多くの臨床的な効果が認められた.
当初,われわれ仙台FESプロジェクトグループはこのような電気刺激を機能的電気刺激と区別して治療的電気刺激(Therapeutic electrical stimulation;TES)と呼ぶことにした.今日ではこの治療的電気刺激が機能的電気刺激と区別してリハビリテーションの領域ではっきりと定着した感がある.
当院では平成5年から平成13年までに36例の脊髄損傷や脳卒中患者の麻痺肢および膀胱に
FES,TESを適応して機能改善を図ってきた.その内訳は,上肢に対するTES12例,下肢のTES15例,膀胱機能改善のためのTES2例,上肢に対するFES5例,下肢のFES2例である.本稿では当院の症例を中心に,上肢,下肢および膀胱機能に対するTESについて述べる.
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