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入門講座 運動耐容能評価・1【新連載】
心臓リハビリテーションの運動耐容能評価
Evaluation of exercise tolerance in cardiac rehabilitation
牧田 茂
1
Shigeru Makita
1
1埼玉医科大学国際医療センター心臓リハビリテーション科
1Department of Cardiac Rehabilitation, Saitama Medical University International Medical Center
キーワード:
心肺運動負荷試験
,
運動耐容能
,
嫌気性代謝閾値
,
ランプ負荷
Keyword:
心肺運動負荷試験
,
運動耐容能
,
嫌気性代謝閾値
,
ランプ負荷
pp.313-318
発行日 2016年4月10日
Published Date 2016/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200562
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運動負荷試験の目的
心臓リハビリテーションにおいて運動負荷試験は欠かせない.運動負荷試験は心疾患,とりわけ狭心症・心筋梗塞をはじめとする虚血性心疾患の診断,治療効果判定,運動耐容能評価に用いられている.最も頻度の高い運動負荷試験の目的は,虚血性心疾患の診断である.すなわち,運動で誘発される狭心症を検出するために行われる.狭心症は,典型的症状(狭心痛)を訴えるときに記録した心電図が,虚血性変化(主にST変化)を示すとき診断が確定されるが,安静時心電図ではまったく異常を認めず,日常生活で明らかな狭心痛を認めない例も少なくない.また運動時における軽い息切れなど,典型的な狭心症状を呈さない場合もある.このようなとき運動負荷試験は,安静時には予測できない虚血性心疾患を検出することができる.
心筋梗塞後や心臓外科手術後の心臓リハビリテーションにおいても,リハビリテーション開始時の運動の安全性や運動処方の作成に運動負荷試験は欠かせない.運動負荷試験によって患者の運動耐容能を評価し,その結果をもとに運動処方(特に運動強度設定)や運動・生活指導を行いさらに職業復帰を判断する.心不全患者に関しては,運動耐容能〔最高酸素摂取量(peakVO2)〕と生命予後が相関する1)ことが知られており,心臓移植の基準にpeakVO2が用いられていることからも,運動耐容能の重要性がわかる2,3).
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