巻頭言
リハ・マインド
角田 亘
1
1国際医療福祉大学三田病院リハビリテーション科
pp.273
発行日 2016年4月10日
Published Date 2016/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200552
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私は,リハ・マインドという語を口にすることを好まない.
リハビリテーション医学科ならではの独特な心得・視点・考え方,すなわちリハ・マインドを理解しておくことは,リハビリテーション医にとっておそらくは必須である.ただ私は,リハ・マインドという語が先走ることで生じうるいくつかの弊害を,老婆心と自覚しながらも危惧する.まずは「リハビリテーション医が誇ることができるのは,そのマインドしかないのか?」と,他分野の医療者たちから見下される危険がある.次いで「リハビリテーション医は,そのマインドさえもち合わせていれば,scientificな思考はあまり問われない」と誤解する若きリハビリテーション医が生まれてこないとは限らない.私は,リハビリテーション医なるものは,患者の障害のみならずその生活にまで焦点をあて,いかなる患者に対しても最良のmanagementとsupportを提供できるspecialistと理解している.すなわちリハビリテーション医は,リハビリテーション医学のspecialistとしての知識を備え,診療・治療技術をも習得する必要がある.よって,私は思う.今,私たちリハビリテーション医が行うべきは,自分たちが抱いているマインドを声高らかにアピールすることではなく,そのマインドに基づいて専門的な知識や技術を確実に培い,それらこそを明確なかたちで広く示していくことではなかろうか.
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