学会報告
第79回神奈川リハビリテーション研究会—2015年10月3日(土),於:東海大学医学部1号館2階講堂A
正門 由久
1
1東海大学医学部
pp.165-167
発行日 2016年2月10日
Published Date 2016/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200518
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1.全身重度熱傷に伴い嚥下障害を呈した1症例
東海大学医学部付属病院リハビリテーション技術科
砥綿 敬史・他
〔はじめに〕全身熱傷後,気道狭窄を機に嚥下障害が増悪した症例を経験したので報告する.〔症例〕40歳代男性.〔現病歴〕自宅で火災が発生し,受傷.31%の熱傷.〔経過〕嚥下評価目的に言語聴覚療法(ST)依頼.適宜評価を行い常食摂取可能となった.しかし声帯の癒着が認められ,咽頭残留感を訴え始めた.声帯癒着は憎悪,経口摂取困難となり,気管切開術を施行された.嚥下造影検査(videofluoroscopic examination of swallowing;VF)を実施したところ,咽頭残留はあるが液体のみ摂取可能となり,その後五分粥食摂取可能となった.気道狭窄により呼吸状態が増悪し再び経口摂取困難となり,気管拡張術施行目的で他院へ転院となった.当院再入院時は呼吸状態は改善しておりVF実施したところ,咽頭残留はあるが常食摂取可能.STは終了となった.〔考察〕本症例は気道狭窄を契機に嚥下機能が低下した.その理由として十分な吸気を行うことができず,嚥下に必要な無呼吸時間が短縮したため喉頭挙上が不十分となり,咽頭残留が生じたと推察された.
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