Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「心が叫びたがってるんだ。」—言葉の暴力性に対峙する言葉を封印した少女の回復の物語
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.163
発行日 2016年2月10日
Published Date 2016/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200517
- 有料閲覧
- 文献概要
人間には個々に差異があり,認識の発達に伴い各自がその差異に気付くようになる.それは発達の証として喜ばしいことだが,差異に気付くことは,差別と被差別の関係を生み出す動因にもなる.差別を克服するためには,さらに上位の認識を獲得する必要がある.
「心が叫びたがってるんだ。」(監督/長井龍雪)は,差別をする存在でありながら,それを克服できる存在でもあるという人間の二つの側面を描いている.その際,俎上に載せたのは,親や級友など普通の人々が発する暴力としての言葉である.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.