学会報告
第75回神奈川リハビリテーション研究会―2013年10月5日(土),於:昭和大学藤が丘病院C棟講堂
真野 英寿
1
1昭和大学藤が丘病院
pp.591-593
発行日 2014年6月10日
Published Date 2014/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110542
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1.慢性期脳卒中片麻痺患者の上肢A型ボツリヌス毒素注射後の機能訓練および経過―歩容変化に着目して
鎌倉リハビリテーション聖テレジア病院
リハビリテーション部
小池 奈緒・他
左被殻出血の60代女性.基本動作は自立し独歩可能であった.姿勢は常に上部体幹屈曲位を呈し,麻痺側立脚時に非麻痺側肩甲帯挙上・retractionの過剰努力がみられ非対称性を強め,麻痺側肩甲骨retraction・肩関節内転・内旋・肘関節屈曲の連合反応が生じていた.姿勢制御に問題があるとの仮説のもと,肩甲帯のセッティングや二次的に短縮している筋アライメント・非麻痺側の代償動作の改善を中心にアプローチを行った.A型ボツリヌス毒素は上腕二頭筋や手指屈筋群に投与され,肘や手指筋緊張は低下したが,姿勢制御の問題が未解決であったことで非麻痺側の過剰努力が強まり,かえってパターンを強めた歩容となった.末梢コントロールのためには中枢部の安定が大切であることを学んだ症例であった.
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