書評
二通諭・藤本文朗 編「障害児の教育権保障と教育実践の課題—養護学校義務制実施に向けた取り組みに学びながら」
戸田 竜也
1
1北海道教育大学教育学部釧路校
pp.709
発行日 2015年8月10日
Published Date 2015/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200318
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本書は,「障害児の教育権保障」を論考の柱として,研究者や教師(退職者を含む),保護者など18名が執筆し,他に3名がコラムを寄せている.教育権保障において歴史的な転換点となった養護学校義務制と周縁部の運動や実践を考察するとともに,今日の特別支援教育における実践上の課題を明らかにしながら,障害のある子どもたちの教育の将来展望を示した労作である.
2014年2月,本邦は障害者権利条約を批准し,文部科学省は新たに「インクルーシブ教育システム」の推進を打ち出している.この「システム」は教育全体の変革を促すものであるが,その道筋はまだ不明である.本書には,今後の教育において何を大切にし,何に取り組むべきかが示唆されている.
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