Japanese
English
入門講座 脳卒中の予後予測
脳卒中患者の就労予測
Prediction of vocational prognosis after stroke.
濵田 学
1
,
白山 義洋
2
,
伊東 育未
2
,
佐伯 覚
3
,
蜂須賀 研二
4
Manabu Hamada
1
,
Yoshihiro Shirayama
2
,
Ikumi Itou
2
,
Satoru Saeki
3
,
Kenji Hachisuka
4
1産業医科大学病院リハビリテーション部
2産業医科大学若松病院リハビリテーション部
3産業医科大学若松病院リハビリテーション科
4独立行政法人労働者健康福祉機構九州労災病院門司メディカルセンター
1Department of Rehabilitation, University Hospital of Occupational and Environmental Health
2Department of Rehabilitation, Wakamatsu Hospital of the University of Occupational and Environmental Health
3Department of Rehabilitation Medicine, Wakamatsu Hospital of the University of Occupational and Environmental Health
4Moji Medical Center, Kyushu Rosai Hospital, Japan Labour Health and Welfare Organization
キーワード:
脳卒中
,
就労
,
予測
Keyword:
脳卒中
,
就労
,
予測
pp.741-745
発行日 2014年8月10日
Published Date 2014/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110588
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はじめに
わが国の脳卒中有病者数は約177万人と推定され1),そのうち1/3~1/4は65歳未満である2).医療現場においても30~50歳の脳卒中患者が増加しており3),リハビリテーションでかかわる機会が多くなっている.また,「若年」の脳卒中患者にとってのゴールは社会復帰であり,そのなかでも職業復帰(以下,復職)が重要である2).
しかし,今日の雇用条件は厳しく,社会的な受け皿が少ないために,たとえ働きたくても仕事を通した社会参加が難しくなっている.脳卒中患者の入院時のニーズを調査した澤の研究では4),仕事に対するニーズは高いものの,ニーズの諦めで多かった項目は皮肉にも復職であったという結果を報告しており,再就職の壁が高いことがわかる.
仕事をすることで,人は収入を得て生活を保ち(生存),また仕事役割の遂行を通して自分の社会的存在(社会参加,連帯)や価値を確認することができる5).また,脳卒中後の障害を来した勤労者にとっても,復職という行いは社会復帰そのものであり,労働生活の質の確保と向上に大いに寄与することが報告されており6),脳卒中患者の復職は,重要な意義を有している.しかし復職支援にあたって,脳卒中の予後をどう予測するかは非常にわかりにくく難しいように感じる.なぜなら,脳卒中後の復職に影響する唯一の予測要因というものはなく,脳卒中患者の復職には多くの要因が関与するからである2).そこで,今回,脳卒中患者の予後予測の観点から,復職に関与する要因や支援のあり方に関して解説する.
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