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はじめに
歩行における時間因子の計測において,接地や離地のタイミングを検出するために,圧センサを用いたフットスイッチ(以下,圧センサスイッチ)が多く用いられている1).臨床応用の例としては,脳卒中患者の下垂足2)に対する,機能的電気刺激(functional electrical stimulation;FES)3)やインテリジェント装具4,5)などの歩行補助装置において,歩行の相の検出に用いられている6).
しかし圧センサスイッチは,以下の理由から実際の接地時刻と検出タイミングに遅れとばらつき,すなわち確度と精度に問題が生じる可能性がある.圧センサスイッチの原理を図1aに示す.一般に用いられている圧センサスイッチは,圧力に依存して抵抗値を変化させる圧センサを足底に配置し,歩行時に図1の抵抗R1にかかる電圧の変化を計測することで接地・離地を検出する.このセンサは無負荷の状態で抵抗値が+∞であり,約0.02kgf以上の圧力において応答する.また,圧センサスイッチで得られる信号はかかる圧力に依存して変化するアナログ信号であり,踵接地時に圧力が緩やかに変化するため,出力される電圧信号も緩やかに変化し,あらかじめ設定した閾値によって検出タイミングに遅れが生じる可能性がある.次に,検出が装着部位に依存するという圧センサスイッチの特徴により,遅れとばらつき双方の問題が生じる可能性がある.脳卒中患者にしばしばみられるような下垂足や内反尖足7)では,歩行時に安定した踵接地が得られず,足底の前部や外側部から接地する,さらには接地部位が一定ではない場合が考えられる.このような場合,検出時刻に遅れとばらつき双方の問題が生じる可能性がある.
そこでわれわれは,圧センサにおける ① 接地圧に依存することから生じる遅れの可能性,② 装着部位に依存する遅れとばらつき,の2つの問題点を解決するため,導電性布で覆った足底と床面との接触に反応する新しいフットスイッチ(Step Analysis Sensor;STANS)を開発した.本研究では,歩行時の踵接地の判定にSTANSと圧センサスイッチを同時に用い,踵接地の検出力について比較した.検出力の指標として検出タイミングの速さ,スイッチ出力波形の急峻さについて比較した.また,装着部位に依存する誤差と精度への影響の検討のため,圧センサスイッチを踵前部・踵後部の2か所に装着し,その違いについても比較した.
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