Japanese
English
特集 アンチエイジングとリハビリテーション
認知障害―運動療法の可能性
Possible benefits of exercise on cognitive impairment.
諏訪部 和也
1
,
兵頭 和樹
1
,
越智 元太
1
,
邊 坰鎬
1
,
征矢 英昭
1
Kazuya Suwabe
1
,
Kazuki Hyodo
1
,
Genta Ochi
1
,
Kyeongho Byun
1
,
Hideaki Soya
1
1筑波大学体育系運動生化学研究室
1Laboratory of Exercise Biochemistry, and Neuroendocrinology, Institute of Health and Sport Sciences, University of Tsukuba
キーワード:
前頭前野
,
海馬
,
認知予備力
,
低強度運動
Keyword:
前頭前野
,
海馬
,
認知予備力
,
低強度運動
pp.829-835
発行日 2013年9月10日
Published Date 2013/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110235
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はじめに
加齢により筋や骨などの運動器,眼や耳などの感覚器,心臓や血管などの循環器など,全身のあらゆる臓器は構造的にも機能的にも退行する.このような加齢に伴う身体の変化は避けることのできない生物学的現象であり,脳もまたこれに漏れない.しかしながら,脳は可塑性に富んだ臓器であり,日常生活に根付いた予防的リハビリテーションによってこのような退行を遅らせ,加齢による認知機能障害に歯止めをかけることができる.そのなかでも,運動は誰にでも比較的取り組みやすく,かつ確実な効果を期待できるアプローチとして注目されている.本稿では,動物やヒトでの研究から得られた知見をもとに,運動がもつ脳のアンチエイジング効果をとりわけ海馬と前頭前野に焦点を当てて概説する.そして,最近の研究から徐々に明らかとなりつつある,運動療法として実用性の高い(実践しやすい)低強度運動の効果を紹介したい.
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