Japanese
English
症例報告
Charcot肩関節を呈した対麻痺患者の1例―肩懸垂装具を含めたリハビリテーションについて
Charcot shoulder joint in a patient with paraplegia:Rehabilitation with shoulder suspension orthosis.
竹田 恵利子
1,2
,
藤谷 順子
1
,
大島 貴彦
3
,
黒木 隆行
4
,
曽我 敏雄
4
,
里宇 明元
2
Eriko Takeda
1,2
,
Junko Fujitani
1
,
Takahiko Oshima
3
,
Takayuki Kuroki
4
,
Toshio Soga
4
,
Meigen Liu
2
1国立国際医療研究センター病院リハビリテーション科
2慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
3国立病院機構東京医療センターリハビリテーション科
4東名ブレース株式会社
1Department of Rehabilitation, National Center for Grobal Health and Medicine
2Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
3Department of Rehabilitation, National Organization Tokyo Medical Center
4Tomeibrace Co. LTD.
キーワード:
シャルコー肩関節
,
対麻痺
,
肩懸垂装具
Keyword:
シャルコー肩関節
,
対麻痺
,
肩懸垂装具
pp.275-279
発行日 2013年3月10日
Published Date 2013/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110058
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はじめに
Charcot関節とは神経障害に合併し,関節組織が破壊されていく病態とされる.原因疾患としては,脊髄癆,糖尿病,脊髄空洞症,先天性無痛覚症の順に多く,発生機序としては,疼痛がなく無防備の状態で,外傷の反復により関節破壊が進行するという外傷説が有力である1,2).一方,対麻痺患者の1.3%は脊髄空洞症を発症し3),そのうち20~25%はCharcot肩関節(Charcot shoulder joint,以下CSJ)になると報告されている4).CSJの観血的治療の中長期成績の報告はなく,治療方法に対する見解はいまだ定まっていない5).脊髄空洞症によりCSJを呈した対麻痺患者の症例報告は,渉猟し得た範囲ではわずかに1編のみで,整形外科的視点からのものである6).
今回,脊髄損傷による対麻痺罹患10年後に脊髄空洞症を認め,15年後にCSJにより移乗動作の制限を来した症例を経験した.保存治療が選択され,早期よりリハビリテーションを開始したが,経過中,左肩関節周囲の出血を2回起こし,再出血予防の目的で肩懸垂装具を導入した.2年間にわたる本例のリハビリテーション経過を報告し,装具療法の意義について考察する.
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