発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011044268
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38歳男。胸髄損傷後の対麻痺患者であった。車椅子とともに左側に転倒し、左肩関節の自発痛および運動時痛を自覚し、当院受診となった。左肩関節前方に骨性隆起を蝕知し、左肩関節の自動運動は疼痛により困難であった。単純X線にて、左肩関節前方脱臼および左肩甲窩前方下方に2×2cm大の骨片を認め、徒手整復を行った。整復後の単純X線像にて、上腕骨頭は肩甲窩に整復されていたが、2×2cm大の骨片は整復前と同じ位置に残存していた。左肩関節の自動運動は著明なROM制限を認め、患側ではanterior apprehension test陽性であった。また、CTにて左肩甲骨の骨性Bankart損傷、左肩甲骨烏口突起裂離骨折および左上腕骨のHill-Sachs損傷を認めた。以上の所見により、左肩関節前方脱臼後および左肩甲骨烏口突起骨折と診断し、Boytchev変法を行った。術後は骨片の再転位なく受傷前までADLは回復し、経過良好であった。
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