Japanese
English
増大特集 新・リハビリテーション技術
疾患編
脳血管障害:片麻痺の臨床におけるトレッドミルの活用
The clinical applications of treadmill to rehabilitation of hemiplegics.
寺西 利生
1
,
才藤 栄一
2
,
大塚 圭
1
,
鈴木 由佳理
1
,
金田 嘉清
3
Toshio Teranishi
1
,
Eiichi Saitoh
2
,
Kei Ohtsuka
1
,
Yukari Suzuki
1
,
Yoshikiyo Kanada
3
1藤田保健衛生大学病院リハビリテーション部
2藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座
3藤田保健衛生大学リハビリテーション専門学校
1Department of Rehabilitation, Fujita Health University Hospital
2Department of Rehabilitation Medicine, Fujita Health University School of Medicine
3Fujita Health University Academy of Rehabilitation
キーワード:
片麻痺
,
トレッドミル
,
歩行
Keyword:
片麻痺
,
トレッドミル
,
歩行
pp.1161-1167
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109921
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はじめに
トレッドミルは,1969年,Bruceにより最大負荷試験が開発されて以来,現在まで,自転車エルゴメーターとともに呼吸循環系に対する運動負荷機器として広く臨床で用いられてきた.
しかし,1990年代に入り,トレッドミルの新たな使用目的が提案され注目されるようになってきた.脊髄損傷者の歩行機能再獲得の訓練におけるトレッドミルの利用である.懸垂装置で立位をとらせた脊髄損傷者をトレッドミル上で歩行させることにより,完全損傷者では下肢筋から歩行様の筋電図の出現をみることができ,また,不全麻痺者ではそれに加えて歩行機能の改善が得られたという報告がなされるようになった1-3).
この訓練法の背景には,懸垂された脊髄ネコの後肢が動くトレッドミル上で歩行パターンを示し,トレッドミル歩行訓練を行うことで歩行機能が改善されたという実験がある4,5).脊椎動物,さらにはヒトにおいても,随意努力や末梢からのフィードバックなしに歩行や咀嚼などのリズミカルな運動を作りだす中枢神経ネットワークの存在の証拠が示されつつあり6,7),Central Pattern Generators(CPGs)と呼ばれている.そして,トレッドミルによる歩行パターンの出現は,脊髄にある歩行CPGsを賦活した結果と考えられている.
以上の経過のなか,1990年代後半から脊髄損傷者に対する試みと同様の手法を片麻痺患者に応用して有効であったとする報告が発表されだした8,9).
本稿では,片麻痺患者の臨床におけるトレッドミル活用という観点から,トレッドミルの評価と訓練への利用について筆者らの経験をもとに概説する.
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