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はじめに
これまでの慢性期脳卒中リハビリテーションに関する研究では,発症後6か月以降になると,機能的状態の向上はほとんどなくなるという報告が主流であった1-3).しかし,最近,発症から1年以上経過した慢性期脳卒中患者でもリハビリテーション治療の効果が得られるという研究も次第に増えてきている4-6).それらの文献によれば,慢性期脳卒中患者におけるリハビリテーション効果の発現機序は,(1)リハビリテーション治療終了後に生じた廃用症候群の改善,(2)生活によって加わった新しい関心事を実現するために未体験の技術を獲得,(3)脳浮腫など急性期の悪条件下で遂行できなかったことを学習してしまう「学習による不使用(learned disuse)」の改善,などによると推測されている4,7).しかし,慢性期脳卒中患者に対するリハビリテーション効果がどのような症例に認められるのか,どのような改善内容なのかについてはまだ十分検討されていない8-11).
慢性期脳卒中患者に対するリハビリテーション治療には,機能維持と機能向上の二つの側面がある.機能維持を目指すリハビリテーション治療は生活を重視しながら,長期的に適用していく.機能向上を目指す治療は病院などでの短期集中的な訓練である.機能維持の具体的な方法には,家庭でのホームプログラムの遂行,訪問・通所・外来リハビリテーションなどがあり,機能向上には間欠的入院リハビリテーションなどがあげられる.両者は患者の機能的状態の変化に合わせて補完的になされなければならない.在宅生活で機能低下が見られるようであれば,間欠的に入院リハビリテーション治療が必要となる.
本稿では,このなかから慢性期脳卒中患者に対する再入院リハビリテーションの機能向上効果について述べることとする.
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