巻頭言
期待されない<人権研修>
関 宏之
1
1大阪市職業リハビリテーションセンター
pp.493
発行日 2002年6月10日
Published Date 2002/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109776
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行政や企業などの<人権研修>として,「障害者」を語るよう依頼されることが多くなった.喜ばしい反面,研修会のあとで「こんなはずではなかった.」という依頼主の落胆ぶりに遭遇することもある.人のありようを巡る理念的な<揺らぎ>がそうさせているのだろうが,<差別>と<スティグマ>は同一のものだという認識を育てるべきである.
依頼者が期待する論点の一つは,<リスク・モデル>を基調にした障害者の人権で,<心身機能に変調がある人>の社会的リスクを強調し,<健常でない人><特殊な人><社会の標準・規範から逸脱した人><社会的弱者>などとアプリオリに被差別者と規定した<障害者>への差別撤廃を訴え,「ノーマライゼーション」を拠り所に,障害者をインサイダーへと誘導する<リハビリテーション>や<障害者福祉>の実践を話せばよい.
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