特集 医療研究会講座集録
特権と人権
武谷 三男
pp.10-18
発行日 1971年8月10日
Published Date 1971/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204946
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組織されていない人たちの人権をいかに守るか
いまわたしがいちばん問題にしているのは,労働者には労働組合,お医者さんにはお医者さんの組合がある。看護婦さんにもまがりなりにも労働組合がある。こうして多少とも自分の権利を守ることができる。だけど一般の市民,これは公害などの問題に対して,自分を守る組織というのがあまりない,最近公害反対運動とか市民運動とかの組織がでてまいりましたけれど,患者はみずからの人権を守るということがほとんどできない。つまり患者は病院にほうりこまれてしまうと,孤立無援の状態に陥るんですね。それでお医者さんと看護婦さんと薬剤師のかたに,いいようにされてしまうという感じをもつ人が多いと思います。つまり患者の人権をいかにして守るか。それからまた子どもですね。保育園からはじまって,幼稚園,小学校,中学校というようなそういう学校,また高校ぐらいになったら,変なことされたらおこりだすんですが,でも中学校,小学校なんかだとどうしようもないというようなことがひじょうにあります。学校とか保育園とか,そういったとこの事故については,わたしいろいろ調べる機会がありまして,全くひどいものであります。
そういう組織されてない人たちの人権というのをいかに守るかということが,やはり基本的に重要な問題だと思うんです。
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