資料 健康に関する権利規定・3
米州人権宣言・米州人権条約とヨーロッパ人権条約
西 三郎
1
1国立公衆衛生院
pp.212-213
発行日 1973年3月15日
Published Date 1973/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204642
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第2次大戦後,人権の問題が,国際的な問題となり,国際連合において,人権宣言,人権条約の採択,署名が行なわれるとともに,地域的にも取りあげられている.すらわち,米州機構,欧州理事会,アフリカ会議などにおいて,人権宣言,人権条約を制定または検討が進められている.
米州においては,1945年1月「戦争と平和の問題に関する全米会議」で,人間の国際的権利義務宣言草案の検討が要請され,1946年全米法律学会議等を経て,1948年ボコタで開かれた第9回全米会議で世界人権宣言に先がけて「人の権利および義務についての米州宣言」が採択された.その序文に「人間の基本的権利は,特定国家の国民であるという事実により変るものでなく,その人間の人格の属性に基づくものである」が故にこの宣言を採択するとし,その前文は世界人権宣言第1条とほとんど同じ内容である.「あらゆる人間は,自由で,尊厳と権利について平等のもとに生まれ,生まれながら理性と良心とを授けられており,お互いに兄弟としてふるまうべきである」から始っている.前文の他,第1章権利,第2章義務,全38条よりなっている.しかし,その後,人権条約の署名までに約20年を要し,その条約も発効にはいたっていない.
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